筋痙攣(けいれん)のはり治療~症例 編~

筋痙攣(けいれん)、運動時、朝の起床時、就寝中、いろんな場面で「足がつった!!汗」という経験をした人は多いと思います。

一時的であればストレッチングをしてゆっくり伸ばしておけば良いのですが、それが習慣性というか頻繁に発症すると運動する時や、すこし長い距離を歩かなくてはいけない旅行の時などは不安になります。また、それが長期間続くようなら外出もおっくうになってくるのではないでしょうか。

外に出なくなると体力も衰えますし、いろんな人や場所や物に触れ合って、話をしたり、感動したり、感情を表に出すことで脳に刺激がいき、イキイキとした生活の源となるのですが、そんな機会が失われますます悪循環となります。

そんな「足がつる~!」症状は出ないようにしておきたいですよね!!

そこで、最近、”ふくらはぎの筋痙攣” でご来院された患者さんの例をご紹介します。

この患者さんは、今は天国で楽しい時を過ごされている大先輩のところに通院されていた方です。長い間いくつもの病院へ行っても原因も分からず治らなかった脇腹痛が、先輩のところで診てもらい、はり治療を受けたところ数回で痛みがまったく無くなったということでした。長い間、はり治療を受けてなかったのですが、筋痙攣と腰痛がよくならないので、はり治療を受けようと先輩のところを訪ねたところ・・・天国へ旅立たれたことを知ってびっくり、そして困ったということです。だけど「どこの はり治療でもいいわけではないからね~」ということです。

娘さんのお友達のご紹介で当院へ来院されました。

プレッシャーです!!!!!

〈患者〉70歳中ごろ 女性

〈来院〉7月

〈主訴〉両ふくらはぎが朝つる  腰が痛くて長く歩けない

〈現病歴〉1年半くらい前より右腰痛発症。外出時、徐々に歩くと痛くなる(散歩ができない)。近くのクリニックで診てもらい鎮痛薬やリハビリを受ける。1年くらい前より起床時、体を伸ばすと足がケイレンした。以来、頻繁に起床時にふくらはぎがケイレンするようになる。同じクリニックで治療してもらう。症状はあまり変化がない状態が維持している状況が続く。

今年に入り ふくらはぎのケイレンから全身につるような感覚が出てきたので、クリニックで漢方薬(芍薬甘草湯 シャクヤクカンゾウトウ)を処方されるが、あまり改善されない。

ふくらはぎのケイレンが強くなっていること、歩行を継続すると腰臀部痛が出現すること、それらの症状が長く続くことに不安になり当院へ来院。

〈既往歴〉子宮筋腫 左股関節手術(人工関節)

〈治療方針〉

①長期間疼痛が持続することによる不安等、自律神経の調整→生体制御療法(全身調整)

筋膜上圧刺激(はりを打って、筋膜に達したら〈6mmほど〉すぐ抜く)黒野式全身調整穴 13経穴

②腰・臀部の痛みの原因を取り除く→鍼通電治療・置鍼(局所治療)全体の診察を探っていくと実は痛みの原因は腰ではなく仙腸関節部と周辺臀部筋その部分の鍼通電と反対の臀部圧痛点への置鍼

③下腿の血流改善・疼痛閾値の正常化→置鍼・円皮鍼貼付(局所治療)曲泉・太衝への置鍼&円皮鍼

〈経過〉※だいたい週1・2回ほどを治療間隔とする。

2回目(初診より3日後)の施術後、起床時のケイレン消失。
腰臀部の歩行痛あり。

3回目(2回目より5日後)今朝、ふくらはぎにケイレンが起こる。
右腰前屈痛が消失。
歩行時痛があるということで右腰臀部に鍼通電治療を開始。

4回目(3回目より7日後)朝のふくらはぎのケイレンは伸びをしても全く大丈夫で消失。
腰部の歩行時痛が消失。

5回目(4回目より12日後)朝のふくらはぎのケイレンなし。
時々ケイレンの前のような違和感は感じることはある。
歩行時の腰臀部痛や前屈痛なし。
外出の不安がなくなる。

現在も10日に一度から2週間に一度の治療間隔で通院中。予防も兼ねて。しかし、ある程度の痛みは消失したので、来院間隔は患者さんご本人の意思に任せてあります。

〈考察〉腰臀部痛は、早期に治療で改善していたので筋膜痛であったと思います。人工関節などの影響もあろうかと思いますが、歩行できるようになり動けることで今後の予防にもなるでしょう。

下腿後側のケイレンは腰部・骨盤周辺のからの影響もあり血流不足や神経活動のバランスが悪かったことも原因かと思います。症状がとれた後も症状の改善が持続されているということは自己修復力や治癒力が働き始めた=正常な生体の状態に戻り始めていると思います。

このように、筋痙攣に対する はり治療では比較的早期に効果が出て持続するケースも多くあります。

なお、『筋痙攣の はり治療~筋痙攣のメカニズムと対応 編~』は別ブログに書かせていただきました。ぜひご覧ください!!

https://blog.goo.ne.jp/shinkyu-futaba/e/a3a1f8a11e58c2e05922608bd1da1bd3

猛暑の8月から少し涼しい季節となる9月や10月は自律神経のバランスがとれずらい時期であり、身体がアンバランスになりやすい時期でもあります。ケイレンをはじめ身体各所の痛みの発症も多くなります。

何か不安な症状等ございましたら、ご連絡ください!!